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グローバルネットワーク案件に従事するエンジニアの日常(非日常)

I.Jun
I.Jun
グローバルネットワーク案件に従事するエンジニアの日常(非日常)

はじめに

金融案件のグローバル(海外)ネットワークにおいて、プロジェクトマネージャーをしています。
現在の案件に携わる前は日本国内の案件を担当していて、主にL3スイッチ、ファイアウォールといった機器の設計・構築をしていましたが、
気づけば今の現場ではや数年。
これからネットワークエンジニアを目指そうとしている方で、
グローバル案件のエンジニアがどのような業務を行っているか、その日常と非日常をお伝えできればと思います。

業務内容

グローバル案件と言っても、基本的に国内案件と同じような業務を行っています。
具体的には以下で、新規拠点を構築する際の内容を記載します。
①要件確認
通信要件や移行方法などを確認し、不明点があったらお客様に確認します。
②基本設計
詳細設計をするにあたっての基本的な設計(大まかなネットワーク構成や信頼性設計等)をします。
③詳細設計
基本設計に則り、詳細なパラメータ(IPアドレスやポート設定等)を設計し、詳細設計書に落とし込みます。
④検証設計、および検証
商用環境と同じ機種、OSバージョンの検証機を用意し、想定通りの設定が出来るか、
正常時のルーティングが想定通りか、障害時の経路や切り替わり時間が想定通りか、といった内容を検証します。
どのような手順で移行していくか、といった移行手順の検証も実施します。
⑤移行設計
商用環境に適用する際の手順書やタイムチャートを作成します。
⑥単体試験
機器単体で問題が無いことの試験を行います。
ポート不良が無いか、電源に異常が無いかといった形で主にハードウェア部分を確認します。
⑦構築
データセンターが多いですが、商用環境の機器を設定変更を行ったり、既存機器へ新規機器を接続するといったことを行います。
検証と同じ手順で商用環境に適用します。
⑧結合試験(現地試験)
検証で問題が無かったからといって、本番(商用)でも問題が無いかというと、100%そうとは言い切れません。
検証では可能な限り商用環境に近づけて、商用作業時のリスクを排除しますが、商用環境特有の事象もある為、
商用環境でのみ発生する場合もあります。そこで最後の砦として機能する内容が現地での試験です。

例えばお客様から事前に疎通対象を教えていただき、その対象への疎通が問題無いこと、
機器のステータスが想定通りであること、といった内容が確認出来ればある程度の正常性が担保されます。
更にお客様が普段業務で行っている内容を試験(ユーザー受け入れテスト)もお客様にて実施していただければ、なお安心です。

グローバル案件特有の業務内容

私が担当している案件は日本法人のお客様の為、基本的に国内のお客様とやり取りをします。

①要件確認
要件元は現地(海外)のユーザであることから、通信要件や移行方式は現地の意向を反映させる必要がある為、
国内のお客様経由で現地へ確認をします。
②基本設計
国内案件と変わりません。
③詳細設計
国内案件と変わりません。
④検証設計、および検証
国内案件と変わりません。
⑤移行設計
国内案件と変わりません。

⑥単体試験
試験手順書は英語で作成する必要があります。

現地に導入する機器の為、現地に試験手順書を送付して、現地の方に実施を依頼します。
国によってエンジニアの作業品質が本当にバラバラで、手順書通りに実施、ログの取得も完璧な国もあれば、
手順書の合格基準を満たしていないにも関わらず、合格としている場合やログを取得していない場合もあります。

上記により、自分達で行えば1日で終わるような作業が完了まで1週間かかる場合もあります。
例えば、イギリスやアメリカなど、時差が大きな国に導入する場合、日本の日中帯が現地の夜間帯になる為、
メールを1往復するだけで2日かかってしまいます。
以下が一例で、括弧内はその国の標準時刻を示していて、日本(JST)はロンドン(GMT)より9時間進んでいます。

4/1 14:00(GMT) = 4/1 23:00(JST) ロンドンから日本へ試験結果を送付
4/2 00:00(GMT) = 4/2 09:00(JST) 日本で試験結果の確認を開始
4/2 03:00(GMT) = 4/2 12:00(JST) 日本からロンドンへ試験の再実施を依頼
4/2 09:00(GMT) = 4/2 18:00(JST) ロンドンで再試験を開始
4/2 14:00(GMT) = 4/2 23:00(JST) ロンドンから日本へ再試験結果を送付
4/3 00:00(GMT) = 4/3 09:00(JST) 日本で試験結果の確認を開始
4/3 03:00(GMT) = 4/3 12:00(JST) 日本からロンドンへ試験結果に問題が無いことを連絡

⑦構築
大きく変わる点です。
現地に出張をして構築を行いますが、詳細は後ほど記載します。

⑧結合試験(現地試験)
こちらも現地に出張をして試験を行いますが、回線の試験も行っています。
私のプロジェクトは閉域網(セキュリティが高い専用線)で各国と接続しているのですが、
日本で利用する閉域網はキャリアから回線を引き渡された直後から高品質で安定しているイメージがあるかと思います。
海外の場合、専用線と言えど、国によって品質に差異がある為、
キャリアから引き渡された後に独自の試験を行い、品質を引き上げています。

海外出張の流れ(日本での準備)

以降が恐らく一番気になっているであろう内容だと思いますが、日本での準備から記載します。

パスポートの取得

パスポートを持っていない方はパスポートの取得から始まります。
私は現在の現場で初めて海外に行った為、パスポートの取得から開始しました。

航空チケット、ホテルの予約

代理店経由で航空チケット、ホテルの予約を行います。
ご自身で海外のホテルを直接予約することはハードルが高いと思いますが、日本の代理店に依頼する為、そんな方でも安心です。

出発までの準備

現地で業務を行う際の資料や、スーツを含めた着替えや食料等、現地で生活する為の準備が出来たら出発です。

海外出張の流れ(出国から帰国まで)

出国から帰国までの基本的なスケジュールは以下の通りです。
場所によっては、移動だけで1日以上かかる国もあります。
1日目(木曜日)出国日
2日目(金曜日)前日確認
3日目(土曜日)構築、試験
4日目(日曜日)休日
5日目(月曜日)立会い
6日目(火曜日)帰国日

現地での詳細を記載します。

1日目(木曜日)
成田空港、もしくは羽田空港から出国します。
遅れは許されない為、電車の遅れや出国手続きを考慮し、私の場合は飛行機が飛び立つ3時間前には空港に到着するようにしています。
2名以上で出張をする為、空港で同行者と待ち合わせ、保安検査などの出国手続きをした後、無事、機内に着席できたら一安心です。
機内では映画鑑賞や就寝している方が多いです。

--------------------------------------------ここから非日常--------------------------------------------
現地に到着したら、非日常の始まりです。
入国手続きを済ませたら、タクシーに乗り、ホテルまで移動します。
私はこの移動中が海外に来たんだなぁと実感する瞬間の一つです。
アジアでしたら、空港の外に出た時に日本とは異なる暑さを感じたり、
国を問わず、タクシーから見える景色は現地の言語で書かれた看板が多数あったりと、
日本とは異なる景色を見ることができます。

ホテルに到着したらチェックインをします。
業務情報を持っていることから、一定以上のセキュリティが確保されたホテルに宿泊している為、
名前を聞いたら誰でも知っているような有名ホテルに宿泊することもあります。
そのようなホテルであることから、英語は必ず使えるので、予約をしている旨を伝え、チェックインをします。

夕飯は初日なので、ホテル近くの飲食店で軽めに済ませる場合が多いです。
ホテルに帰ってきたら、翌日の準備をして就寝します。

2日目(金曜日)
起床後はホテルの朝食を食べに行きます。
バイキング形式がほとんどですが、国によって様々なメニューがあり、
ベトナムならフォー、インドネシアならナシゴレンなど、現地食が食べられるので、朝食も楽しみの一つです。
朝食を終えたら、自室に帰り、スーツに着替えてタクシーに乗り、現地エンジニアと一緒に現地お客様のところへ行きます。

会議室で簡単な打ち合わせをした後、データセンターへ向かいます。
データセンターは入館方法を含め、日本と大きく変わりはありません。
日本だと運転免許証などの身分証を提示しますが、海外だとそれがパスポートに代わるくらいです。
その他、休憩室にビリヤードができる国もあったりと、日本ではなかなか見ない光景も見ることができます。

マシンルームに到着したら、翌日に作業を行うラック周辺の環境を確認したり、日本側と連携し、事前の疎通確認などを行います。
基本的にメイン拠点とバックアップ拠点で冗長化されている為、メイン拠点の確認を終えたら、
バックアップ拠点へ移動して同様の確認を行い、その日は終了です。

3日目(土曜日)
移行の本番作業です。
メイン拠点とバックアップ拠点の二手に分かれ、それぞれの拠点で日本と連携しながら移行作業を行っていきます。
現地のエンジニアが作業、日本からの出張者が再鑑者といった形で、ダブルチェック体制で作業を行います。
現地のエンジニアも日本と同様、手順書の指差し確認と声出しをしている国もある為、間違いを防ぐ方法は世界共通なんだなと感じています。

無事移行作業が完了したら、出張における山場は超えたことになるので、心持ちは大分楽になります。
終了時間にもよりますが、現地お客様と夕食をご一緒したり、夕食後に現地お客様のご厚意で観光をしたりすることもあります。

4日目(日曜日)
日曜日は休日なので、観光をしています。
海外に来る機会はなかなか無い為、観光したい場所や食べてみたいものを考えておき、朝から行動しています。
私は城や寺院といった現地の建築物が好きなので、そういったものを中心に観光しています。
海外出張は何回か行っていますが、その中でもマレーシアのブルーモスクやピンクモスクが綺麗で印象に残っている為、今でも鮮明に覚えています。

昼食は現地のお店で食べていますが、コーヒーも好きなので、カフェでその国のコーヒーを好んで飲んでいます。
インドネシアで飲んだコーヒーは思いのほか甘く、こちらも記憶に残っています。

一通り観光した後は家族へのお土産を買っています。
こちらも国によって様々なので、お土産を選ぶ楽しみがありますね。

文字が続いているので、息抜きとして、シンガポールへ出張した際に撮影した写真を貼り付けます。
大阪にもありますが、皆さんご存じのテーマパークです。
こちらはSentosa島にあり、歩いて行けるところに宿泊したので、記念に撮影しました。
丁度、人がいない瞬間を撮影できたので、運良く撮れた一枚です。
5日目(月曜日)
立会いの日です。
週末の移行によって既存システムに影響が出ていないか、立会いを行います。
現地時間の午前中に立会いを行い、お客様から不具合の申告が無かったら、体制が解除されます。
お客様から体制解除のご連絡をいただけたら、今回の出張目的は果たせたことになります。

無事立会いが完了して、その日の業務を終えたら、翌日のフライトまでは自由時間になる為、観光の続きを行ったり、現地の食事を楽しむ方が多いです。


6日目(火曜日)
帰国日です。
部屋に忘れ物が無いか、再確認をして、チェックアウトをします。
ここでの注意点として、領収書が無いと経費精算が出来ない為、忘れずに受領します。
領収書の確認が出来たら、タクシーに乗って空港へ向かいます。
フライトの時間によっては早朝発の場合もあるので、深夜2:00にホテルをチェックアウトをする場合もあります。

空港に到着したら、出国手続きを行い、出発時間まで空港内で過ごします。
空港内でもその国のお土産が買えるので、空港で買う方もいますね。
無事、機内に着席できたら一安心ですが、帰りは疲れているので、機内では就寝している場合が多いです。
--------------------------------------------ここまで非日常--------------------------------------------

成田/羽田空港に到着すると、名残惜しいのですが、非日常の終わりです。
電車に乗って、帰宅します。

最後に

いかがだったでしょうか。
私が初めて海外出張をした時は英語が全く話せず、ホテルのチェックインすら出来なかったですが、
このままでは次回の海外出張時に何も出来ないと危機感を抱き、それがきっかけとなって、英語の勉強やWeb英会話を始めました。
その結果、ある程度、英語での会議内容が分かるようになったり、コミュニケーションをとれるようになるまで成長できました。

グローバル、金融案件と聞くと尻込みをする方も多いかと思いますが、プロジェクトには英語が堪能な方がいますし、
金融案件特有の厳しさはありますが、それが成長の糧になると考えています。
また、仕事で海外に行く機会はなかなか無いと思いますし、ご自身の周りの方に近況を聞かれた際、
「海外出張して仕事をしているよ」と答えることができたら、格好いいじゃないですか。

長文となりましたが、少しでも業務内容をお伝えすることができたら幸いです。

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