【生成 AI】Excellia を自社向けに提供開始 ～AIVolutionX からの進化と業務利用への本格展開～

こんにちは、IT 基盤本部の林です。
これまで IT 基盤本部の人間として生成 AI 業務利活用基盤の開発をおこなっていましたが実は今年度から新たに新設された生成 AI 推進センタのメンバーとしても活動をしています。

参考: 組織・役員 | エクシオ・デジタルソリューションズ株式会社

生成 AI 推進センタは、お客様への生成 AI の導入をワンストップで提供可能な体制を整備することを目的として新設されました。いま現在はお客様への提案活動を行いつつ、自社内の生成 AI 利活用を推進する活動をおこなっています。今回は生成 AI 推進センタが自社向けに提供している生成 AI 利活用基盤のご紹介です。

はじめに

以前、弊社の田﨑が Azure 上で開発した自社の生成 AI 活用プラットフォーム「AIVolutionX」のコア機能についてご紹介しました。

前回記事: AIVolutionXの中身の話 | 記事一覧 | エクシオ・デジタルソリューションズ株式会社

この度、AIVolutionX をもとに、業務用生成 AI 利活用プラットフォーム「Excellia (エクセリア)」を新たに自社内にリリースしました。

生成AIとは？ 〜業務活用の可能性〜

生成 AI とは、文章や画像、プログラムなどを自動で生成できる AI 技術の総称です。近年では ChatGPT などのサービスが話題となり、業務効率化や新しい価値創出の手段として注目されています。
ただし、業務で利用する場合には「情報の安全性」や「社内システムとの連携」など、一般向けサービスではカバーしきれない課題もあります。

おさらい: AIVolutionX の機能

Excellia の前身である AIVolutionX は、弊社の生成 AI 利用トライアルの取り組みとして開発された汎用生成 AI 利活用プラットフォームです。主な機能は以下の通りです。

• チャット機能
• ファイルからの RAG (Retrieval-Augmented Generation: 社内文書などを AI が参照しながら回答を生成)
• インターネット検索を用いた最新情報の回答機能
• システム プロンプト (AI にどのように振る舞うかや、守るべきルールを指示する特別な命令文) をテンプレートとして定義できるペルソナ機能

AIVolutionX は、生成 AI の業務活用トライアルを目的として開発し、エクシオグループおよび自社の一部メンバー向けにお試し提供していました。

ChatGPT のような汎用サービスと異なり、自社専用の基盤で業務情報を安心して利用できる点が高く評価されていました。一般的な生成 AI サービスでは、入力した情報が外部に送信されるリスクなどの課題がありますが、自社基盤であれば「情報漏洩リスクの低減」「社内ルールに沿った運用」「独自機能の追加」など、業務利用に最適化できます。

Excellia の概要と名前の由来

AIVolutionX をもとに開発した新たなプラットフォームが「Excellia (エクセリア)」です。

名前の由来は「Exeo + Excellent（卓越した）+ AI」からの造語で、EXEO の技術力や高品質をアピールし、AI を活用した新たな価値を想起させるネーミングとなっています。

Excellia は、EDS 社員向けの業務用生成 AI 利活用基盤として提供しています。

機能改善と UI の進化

Excellia では、AIVolutionX から主に UI 面での改善を行いました。
これまでは開発メンバーのみで UI 開発を進めていましたが、今回は社内デザイナーの助言を受け、さらにかっこいいロゴも作成してもらいました。

より直感的で使いやすい画面設計となり、初めて利用する方でも迷わず操作できるようになりました。
個人的な感想として、サービスとして本格的なものになってきたことで、提供する側としてもモチベーションが大きく向上しました。

Microsoft 365 (M365) アカウント連携

Excellia では、社員が普段利用している Microsoft 365 (M365) アカウントでそのままサインインできる仕組みを導入しています。
M365 とは、メールやカレンダー、ファイル共有などを一元管理できる Microsoft のクラウド サービス群です。

M365 アカウントでログインできることで、以下のようなメリットがあります：

• 新たな ID やパスワードを覚える必要がなく、普段の業務アカウントでそのまま利用可能
• 退職や異動などの人事異動時も、アカウント管理が一元化されセキュリティ リスクを低減
• 社内の他システム (SharePoint 等) との連携がスムーズ

AIVolutionX 時代も M365 で提供はしていましたが、通常の業務で利用しているアカウント管理体系とは別 (業務用の Azure テナントとは別テナント) になっていたため、業務用 M365 アカウントとは別にアカウント管理が必要でした。Excellia では業務用 M365 アカウントを使ってログインができるため、その面倒さが解消されました。

社内提供後の反響と改善

Excellia を社内に提供したところ、さまざまな反響や要望が寄せられました。

AI の回答速度の向上

「AIVolutionX よりも AI からの回答の速度が速くなった」という声が多く寄せられました。

AIVolutionX も Excellia も Azure OpenAI Service を利用していますが、AIVolutionX では gpt-4o を、Excellia ではリリース時に新たに登場した gpt-4.1 を採用しています。厳密な計測はしていませんが、Azure OpenAI Service 上では gpt-4o よりも gpt-4.1 の方が体感的に応答が速い印象です。

業務利用においては、AI の応答速度が業務効率やストレス軽減に直結するため、こうした改善は非常に重要です。

BP (協力会社) メンバーの利用要望とアクセス権限の拡大

社内からは「BP (協力会社) さんのメンバーも使えるようにしてほしい」という要望も多く上がりました。

Excellia は自社の業務用 Azure テナントで提供しており、アクセス権限の制限を行っています。自社の Azure テナントには、EDS 社員だけでなくグループ会社や協力会社 (BP) メンバーも Entra ID に登録されています。

当初は EDS 社員向けの Teams チーム (M365 の特定グループ) に対してのみアクセス許可を設定していました。Azure と Microsoft 365 は同じ Entra ID 基盤を共有するため、指定した M365 のグループ (Teams のチームなど) だけにアクセス許可を付与することが可能です。
BP メンバーは今回アクセス許可を付与したチームに含まれていませんでした。BP さんの利用を制限する意図は特段なかったのですが、権限管理の都合上、アクセスができない状態になってしまっていたのです。

要望を受けて総務担当に相談したところ、BP メンバー用の Teams チームも存在することが判明しました。こちらにも同様にアクセス許可を追加しました。これにより、BP メンバーも Excellia を利用できるようになり、より多くの関係者が業務で生成AIを活用できる環境が整いました。

運用体制の整備

Excellia は、トライアルではなく完全な業務利用を目的として整備しています。そのため、システムの運用体制も強化しました。

• システムの監視項目の検討
• 社員からの問い合わせ対応体制の構築

業務で安心して使い続けられるよう、今後も運用・サポート体制を充実させていきます。

おわりに

Excellia を通じて、業務における生成 AI 活用の可能性をさらに広げていきます。今は EDS 社内向けの展開となっていますが、個人的にはエクシオグループ系列各社に提供を拡大し、より様々な立場のメンバーからフィードバックを受けることができればさらなる改善活動につなげられるのではと考えています。飽くまで私の個人的な思いですが……。(もっと一緒に取り組んでくれる仲間が増えると助かります……)

Excellia は「安全・便利・高品質」な AI 基盤として、今後も進化を続けていきます。社内で蓄積したノウハウをもとに、お客様のお役に立てるよう尽力してまいります。

ありがとうございました。